蕩けるくらいに抱き締めて(続き完結)
「…島崎、人の話「聞いてましたよ!だから、お弁当をあげてるんです!」

相変わらず甲高い声で言う雪愛に、蘇芳先生は眉をひそめる。

「…蘇芳先生は、患者さんから信頼されてる良い先生なんですから、自分の体調管理くらいちゃんとしてください!」

言って、せいせいした顔をした雪愛は、また、さっきのベンチに座り、コーヒーを飲んだ。

「…お前の昼飯は?」
「…大丈夫です。メロンパンがありますから」

「…とれだけ食うんだよ」

呆れ顔で呟く蘇芳先生。雪愛は、真っ赤な顔で否定した。

「こ、これは、内科の三条先生がくれたんですよ!」

そう言うなり、そっぽを向き、雪愛は、メロンパンにかじりついた。

…それを見た蘇芳先生は、少しだけ笑った。…でも、そっぽを向いてる雪愛は気づかない。…貴重な笑顔だというのに。

「…‼︎」

間もなくして、蘇芳先生は雪愛の横に腰を下ろし、雪愛の弁当を食べ始めた。

「…これ、誰が作った?」
「…わはひれふけろ?」

「…ふーん」
「…不味いとでも言いたいんですか?でも、ちゃんと食べてくださいよ!バランスはちゃんと考えてますから」

それに答えることなく、蘇芳先生は、ペロリとお弁当を平らげた。
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