蕩けるくらいに抱き締めて(続き完結)
次の日の朝、蘇芳先生は先に出勤して、しばらくしてから、雪愛も出勤した。

着替えを済ませた雪愛は、まず、奏太君の病室に向かった。

奏太君は、雪愛の顔を見て、本当に安心したような顔をした。

奏太君は、雪愛が大好きなのだ。

「手術室まで、私が付き添うからね。蘇芳先生は、本当に腕の立つ良いお医者様だから、安心して眠っていれば、すぐに終わるよ」

雪愛の言葉に、奏太君は、笑顔で頷いた。

話を終え、病室から出ると、三条先生とばったり出くわした。

…告白されたが、蘇芳先生との事を応援してくれた三条先生、蘇芳先生と、どうなったのか、報告するべきなのは分かっている。

「…三条先生、おはようございます」
「おはよう。奏太君に何か?」

「今日がオペだと聞いたので、ちょっと会いに来ました」
「…そっか」

「…三条先生、仕事が終わったら、少し時間あります?」
「…大丈夫だよ。終わったら、連絡して」

そう言って微笑む三条先生に…

「啓介」
三条先生を下の名前で呼んだのは?

「薫子先生…院内では、その呼び方止めてと言ってありますよね」

薫子、先生?…薫子って言った、よね。

雪愛は、薫子先生の顔をマジマジと見つめた。

スタイルの良い、白衣の似合う美人女医だ。
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