蕩けるくらいに抱き締めて(続き完結)
奏太君は手術室に入っていった。

「…手術は、2時間を予定してます。病室でお待ちください」

「…島崎さん」

不安げな顔で、雪愛を呼んだお母さん。

「どうしました?」
「…奏太は、…無事に終わりますよね?」

雪愛は、不安がるお母さんの手を優しく握りしめ微笑んだ。

「…大丈夫です。必ず元気になりますよ。奏太君頑張るんですから!執刀医の蘇芳先生の腕はピカイチですから」

「…ありがとうございます。島崎さんにそう言ってもらえると、大丈夫だって、思えてきました。…あ、蘇芳先生」

…オペ着を着た、蘇芳先生が歩いてきた。

「…蘇芳先生、奏太をお願いします」

お母さんは、深々と蘇芳先生に頭を下げた。

「…はい。必ず無事に終わらせて、また、元気な笑顔を見せますから」

真剣な面持ちで、蘇芳先生はお母さんに言った。

「…蘇芳先生、頑張って下さい」
「…あぁ」

雪愛の言葉に、頷いた蘇芳先生は手術室の中に入って行った。

…奏太君のオペは、予想以上に困難を極め、予定の2時間を越え、3時間もかかったが、無事に終了した。

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