蕩けるくらいに抱き締めて(続き完結)
バタバタと足音を立てながら、慌てて玄関に向かい、ドアを開けた雪愛。

「お、おはようございます。どうしたんですか、急に?…蘇芳先生?」

雪愛の言葉に、蘇芳先生は何も答えない。雪愛は不思議に思いながら、首を傾げる。

…蘇芳先生はまだ、何も答えず、雪愛を凝視している。

…なぜ、何も言わないのか。

…それは、雪愛の服装に問題があった。

フカフカの真っ白な短パンに、お揃いのトレーナーに、ウサ耳の付いたフードがあって、髪の毛が跳ねないように、かぶった状態。

…まさに、ウサギの仮装だ。

その上、寝起きという事もあり、スッピンで、童顔な顔の雪愛が、こんな格好をしている。

…カワイイ。可愛すぎる。

萌える。とは、まさにこの事だろう。

「…ヒャッ!す、蘇芳先生、何事ですか⁈」

突然抱きしめられ、嬉しいやら恥ずかしいやら…雪愛はアタフタする。

蘇芳先生は、自分の思った事は、あえて言わない。…いや、言えない。言えるわけがなかった。

恥ずかしすぎて…

「蘇芳先生、いい加減何しに来たか、教えてくださーい」

雪愛は懇願した。
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