蕩けるくらいに抱き締めて(続き完結)
「…カワイイ」
「…は??」

蘇芳先生の一言に、雪愛が止まる。
蘇芳先生はハッとして、咳払いをした。

「…昨晩の電話はなんだ?」

その質問に、今度は雪愛がハッとさせられる番。

「えっと…あれは、その、ただの間違いと言いますか…」

しどろもどろになりながら答える雪愛。

そんな雪愛を、蘇芳先生は意外にも、優しい眼差しで見下ろしていた。

雪愛はそれ以上何も言えず上目遣いに蘇芳先生を見上げる。

「…間違い、違うだろ?本当は、俺の声が聞きたかった…会いたくなった?」

ズバリ言い当てられ、雪愛は唇を噛む。

…うーん、その格好で、その顔は反則だ。

蘇芳先生はそう思って、フッと笑うと、雪愛を抱き寄せ、優しく口付けた。

「…ふ…ん…蘇芳、先生」

蘇芳先生の優しいキスに、雪愛は酔いしれる。

唇が離れ、潤んだ瞳で蘇芳先生を見上げる雪愛。そんな雪愛を愛おしそうに、みながら、ウサギの頭を撫でる。


「…あ」

直接触れない蘇芳先生の手。その時初めて知った雪愛。

ウサ耳フードをかぶったままだという事に。
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