蕩けるくらいに抱き締めて(続き完結)
気付いた途端、急に恥ずかしくなった雪愛は、慌ててフードを取ろうと手を伸ばした。

…でも、蘇芳先生に止められた。

…なぜ?雪愛は恨めしそうな目で蘇芳先生を見上げる。すると、蘇芳先生は、クスクスと笑いながら言う。

「…そのままかぶってろ」
「イヤですよ!恥ずかしい!」

真っ赤な顔で反論する。

「…似合うし」

と、言いながら、尚もクスクスと笑う蘇芳先生を、雪愛は睨んだ。

流石に、睨まれたら降参するしかない。溜息をつき、困ったように笑った蘇芳先生は…

「…仕方ないから、取っていいよ」

と、言った。

雪愛は、その言葉に安堵し、フードを取った。

ちょっと、そのままかぶっていて欲しかったというのは、蘇芳先生だけの秘密…

「…蘇芳先生、電話の事が気になって、わざわざ来てくれたんですか?」

気を取り直して、聞き直した雪愛に、蘇芳先生は小さく頷いて見せた。

…軽くイジメられたのを怒りたいところだが、当直明けに、わざわざ来てくれた事が嬉しい雪愛は、怒る事を止め、微笑んだ。

「…蘇芳先生、大好き」

そう言って、雪愛は蘇芳先生に抱きついた。
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