蕩けるくらいに抱き締めて(続き完結)
「…俺は、大好きじゃない」
「…」

蘇芳先生の言葉に驚き、雪愛は困惑する。

「…そんな軽い言葉じゃ足りない」
「…ぇ」

何も言えず、蘇芳先生を見つめる雪愛に蘇芳先生は微笑んだ。

「…俺は、雪愛を愛してる。たった一本の電話で、飛んできてしまうほど」

…愛の言葉なんて、毎日言わなくていい。蘇芳先生は、本当に欲しいと思う時に、とびきりの愛を囁く。

それがどれ程恥ずかしいのか見ていれば分かる。こう言う事を言うのは、性格的にまず無理っぽいということ。

でもだからこそ、蘇芳先生が紡ぎ出す言葉に嘘偽りはない。

涙目で微笑めば、蘇芳先生は雪愛の頭を撫でた。

蘇芳先生は、本当に、心底雪愛を愛してる。雪愛が思っている以上に。

…それからしばらく雪愛の部屋にいた蘇芳先生だったが、雪愛の出勤時間が来ると、雪愛と共に家を出て、自宅マンションに帰った。
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