蕩けるくらいに抱き締めて(続き完結)
…朝。珍しく早く目が覚めた雪愛は、目を開けるなり、蘇芳先生の姿を探したが、どこにも見当たらず、ムクッと起き上がり、寝室を出てリビングに。

すると、スーツ姿をした蘇芳先生が、コーヒー片手に新聞を読んでいた。

サマになるなぁと見惚れていると、蘇芳先生が雪愛に気付いた。

「…もう少し寝てれば良かったのに、もう起きてきたのか?」

準夜勤の次の日は、お休みになっている雪愛。

「…蘇芳先生がいなくて…」

素直にそう呟く雪愛に、蘇芳先生は笑みを浮かべ、雪愛に手招きした。

蘇芳先生の横に座って、ピタリとくっついた雪愛を、蘇芳先生は片手で抱きしめる。

「…今日は木曜だから、診察は昼で終わる。午後にも、オペは入ってないから、デートしようか?」

思いがけない提案に、雪愛の表情は、パッと明るくなる。

「…デートしてくれるんですか?」
「…あぁ、こんな時に行かないで、いつ行くんだよ。俺が帰って来るまでに、行きたいところ考えておいて」

蘇芳先生の言葉に、雪愛は満面の笑みで頷いた。
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