蕩けるくらいに抱き締めて(続き完結)
玄関で、蘇芳先生を見送ると、雪愛は色んな考えを巡らせた。

行きたいところは、たくさんあるけど、蘇芳先生を疲れさせるのは嫌だし、でも、せっかくのデートなんだから、楽しみたいし。

まだ、行ってもいないのに、考えるだけで楽しくて仕方がない。

雪愛は頬を緩ませながら、半日を過ごした。

…午後1時。

蘇芳先生からは、まだなんの連絡もない。外科は、診察が長い。

蘇芳先生とペアを組んでる時は、いつも2時くらいまで診察がかかる。

雪愛はのんびり待つことにした。

…でも、2時が過ぎ、3時が過ぎても、蘇芳先生から、連絡一つない。

…急患でもあったのだろうか?もしそうなら、連絡が来なくても仕方がない。

…4時になり、それでも連絡が来なくて、スマホを取り出し、蘇芳先生の携帯を鳴らそうとした、その時だった。

インターホンが鳴る。

…ここは、蘇芳先生の家。自分が出るのはいかがなものかと、考えながら、カメラを覗くと。

「…三条、先生?」

思いがけない、三条先生の来訪に、困惑した。
< 81 / 192 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop