蕩けるくらいに抱き締めて（続き完結）

…まだ泣き止まない雪愛を自宅に返す事が出来ない蘇芳先生は、自分のマンションに連れ帰った。

「…蘇芳先生、今日は帰ります」

そう言った雪愛に、蘇芳先生は首を振る。

「…帰さない。…いや、もう、帰すつもりはない」

その言葉の意味が理解できず、雪愛はキョトンとした。

「…俺の傍に居て欲しい。…俺が帰る場所に、必ず雪愛が居て欲しい」

「…蘇芳先生、でも」

「…何をそんなに迷う事がある？」

「…普段の私はズボラだから」
「…え？」

雪愛答えに、今度は蘇芳先生がキョトンとした。

「…休みの日は、いつもゴロゴロして、出不精だし、何にもしたくないときは、いつまでもソファーから離れないし、お掃除も洗濯も、あんまり好きじゃないし」

雪愛の言葉を黙って聞いていた蘇芳先生が、突然クスクスと笑い出した。

「な、なんで、笑うんですか？人が真剣に悩んでいるのに」

そう言って、雪愛は口を尖らせた。