自殺列車
「朋樹はケンカだって言ってた」


愛奈が言う。


そう。


朋樹は外へ出る前『俺はケンカだ』と言っていた。


あれは、あたしたちへ残したヒントだったんだ。


「じゃあ、あたしたちもこのどれかに当てはまるってこと?」


あたしはそう言い、旺太の書いてくれた文字を読む。


『1人はイジメ。1人は助け。1人は虐待。1人は喧嘩。1人は事故。1人は病気』


「なにか、思い出すことがあるか?」


旺太に聞かれたけれど、あたしと愛奈は力なく左右に首を振った。


これがどんな意味になっているのか、あたしたにはさっぱりわからない。


「朋樹は思い出したらおわりって言ってた……あたしたち、思い出さない方がいいんじゃないのかな?」


あたしはそう言う。


澪の場合もそうだ。


思い出してしまったから外へ出る事を選んだ。


それなら、あたしたちは何も思い出さない方が……。


そう思った瞬間、ドンッ! という大きな音が車内に響いた。


思わず音がした方へ視線を向ける。


その先には……。


血まみれになった朋樹が、窓にへばりついていた……。
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