自殺列車
「ごめんなさい! ごめんなさい!」


愛奈はそこに誰かがいるように何度も謝り、泣き叫ぶ。


一体どうしてしまったんだろう。


「愛奈、大丈夫だからしっかりして!」


「ごめんなさい! 怒らないで! お母さん!!」


愛奈はそう叫び、自分の体を守るように抱きしめた。


お母さん……?


あたしは愛奈の言葉に唖然とする。


旺太はすぐに床に書かれた文字へとかけより、それを確認した。


《1人は虐待》


車掌さんの言っていた言葉が蘇って来る。


まさか、愛奈は……。


「寒い……寒いよ……お願いお母さん、窓を閉めて……」


小さな声で呟き、震える愛奈。


そうだ。


そうだった。


愛奈は窓から入る風で四季を感じていた。
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