自殺列車
でもそれが虐待となると……愛奈はいくら寒くても窓を閉める事を許されていなかったんじゃないだろうか?


それに、愛奈には日付の感覚がなく、学校にも行っていない。


その途端、愛奈が体をビクンッ! と大きく跳ねさせたのだ。


その目は見開かれ、真っ赤に充血している。


「お母さんやめて! ピアスの穴なんていらない! あたしの体に穴をあけるのはもうやめて!!」


母親の幻に向けて叫び声をあげ、懇願し、それでも幻は愛奈への虐待をやめない。


「あがっ……」


愛奈の口がめいっぱい開かれる。


舌を出し、唾液がしたたり落ちていく。


「愛奈……?」


あたしはその光景に恐怖し、思わず愛奈から離れてしまった。


その、瞬間。


愛奈の舌から一筋の血が流れ出た。


「あ……あ……」


愛奈は小刻みに痙攣を起こしながら、舌に走る痛みに耐えている。
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