自殺列車
もう少しで渡りきる……そう、思った矢先。


あたしは足を絡ませその場で転んでしまったのだ。


一度転べば、立ち上がるのも安易ではない。


自分の背中に冷や汗が流れるのを感じる。


トラックは止まらない。


そして……ドンッ! と、ぶつかる音が響き渡り、あたしは空に投げ出されていた。


真っ青に晴れ渡った空を見て、灰色のコンクリートが見える。


あぁ、あたしの体は今空中で一回転したんだ。


そんな事を思っている間に、体は地面へと叩きつけられた。


痛すぎて、痛みは感じなかった。


トラックの後ろから走ってきた乗用車が、あたしの体を踏みつけた。


ゴキッと、どこかの骨が折れる音が体内から聞こえてくる。


遅すぎる急ブレーキの音。


あぁ……あたし、死ぬんだ。


そう思い、あたしは暗闇へと引き込まれていたのだった。
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