自殺列車
「あ……あ……」


銀色のアイスピックを伝い、真っ赤な血が流れおちていく。


あたしは小刻みに痙攣を起こしながら、舌に走る痛みに涙が滲んだ。


「可愛くなりましょうねぇ」


母親は鼻歌を歌い始める。


あたしがいう事を聞いていい子にしている時、まるで子守唄のような歌声で歌を歌うのだ。


舌に貫通したままのアイスピックをグリグリと回転させ、その穴を広げていく母親。


口の中には血の味が広がり、全身に痛みが駆け巡る。


見開いた目を閉じる事さえできず、あたしは上機嫌にほほ笑む母親の顔を見ていた。


アイスピックを回転させるだけではこれ以上穴が広がらないと感じた母親は、一度あたしの舌からアイスピックを引き抜いた。


その瞬間、痛みでビクンッと体を跳ねさせる。


そしてまた、アイスピックが突き立てられた。


あたしの舌に開いた穴は徐々に広がり、ボトボトと大量の血が落ちていく。
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