自殺列車
「旺太が一番最後なのは、きっと心が綺麗だからじゃないかな」


「え……?」


「あたしたちとは、少し違うから」


「何、言ってるんだよ。違うってなんだよ?」


「あたしたちは苦しんでた。生まれつきでも、途中からでも、みんな苦しんでいたの。でも、旺太は違う」


消えそうな声でそう言い、穂香は俺の手をそっとどけた。


俺は何も言えず、その場に立ち尽くしていた。


穂香は笑顔を浮かべたまま窓へと近づいていく。


「じゃぁ、またね。旺太」


「穂香!!」


咄嗟に手を伸ばす。


しかし俺の手は穂香には届かない。


穂香の体は一瞬にして暗闇へと吸い込まれてしまったのだった……。
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