自殺列車
イジメが始まったのはネット上だった。


しかし、あたしがスマホを持ち始めてからそれは急速に形を変えていった。


あたしが自分の悪口に気が付いてしまったことで、周囲からの遠慮がなくなったのだ。


間接的だったイジメは直接的なものへと変わり、足をひっかけてこかされる程度のものがあっという間にエスカレートしていった。


それを見ていた友人たちは、自分に飛び火することを恐れてあたしから逃げていく。


家にいても、そいつらはいつもあたしを狙っていた。


《家にいるんだろ? 出てこいよ》


《逃げられると思うなよ》


休日でもそんな威圧的なメッセージが、次々と送られてきた。


時には見ず知らずの他校の生徒に指をさされて笑われたりもする。


イジメている生徒の友人関係だ。


どこにいても、あたしは常に怯えていなければいけない状況になっていた。


いつどこで、どんな人が自分を傷つけてくるかわからない。


その結果、顔を見られないようにうつむいて歩くようになっていた。


背中をまるめ、前髪を伸ばし、なるべく人と目を合わせないようにする。
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