自殺列車
どうして?


いつ、どこであたしは彼女に恨まれるような事をしたんだろう?


記憶をたどってみても、思い当たる事なんてなにもない。


目立つ行動はしていないし、彼女たちのグループには自分からは関わらないようにしてきた。


それなのに、なんで……?


涙で視界は揺れてナイフの動きに気が付かなかった。


彼女が振り回したナイフはあたしの髪を切り、そして肩を裂いた。


思いっきり力を込めて振り回されているため、その傷はザックリと深い。


血はあっという間に制服を染めていく。


「先輩はこんな女の何がよかったんだろうね」


彼女の言葉にあたしは顔を上げた。


先輩って、一体誰の事だろう?


そう思っていると、1人がスマホを開いて画面を確認し始めた。


「○○先輩は永井穂香の事が好き。この書き込み、本当なのかな?」


あたしは大きく目を見開いた。


○○先輩というのは学校内でも有名なイケメンで、狙っている女子生徒は多い。


そして彼女もまた先輩の大ファンだった。
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