自殺列車
優志が窓を開け、外を確認しようとしている所だった。


身を乗り出し、暗闇へと手を伸ばす……「やめろぉぉぉぉ!!!」


俺は大声で叫んでいた。


優志にかけより、その体を抱きしめる。


しかし……。


優志の体は闇の中へと引き込まれて行ってしまったのだ。


「あ……あ……」


嘘だ。


こんなの、嘘だ。


窓から後ずさりをする。


俺たちはもう何度も何度もここで死んでいるのか?


だとしたら、今の俺は一体……。


「少し、時間の早送りをしようか」


車掌がそう言い、指をパチンッと鳴らした。


すると、突然ドンッと言う音が聞こえてきて逆側の窓に優志の体が落下してきた。


みんなの悲鳴が響き渡り、右往左往しはじめる。


しかし、それはまるでDVDを早送りしているような状況なのだ。
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