自殺列車
前の車両へ続くドアを開けようとして失敗し、そしてみんなが体の異変に気づき始める。


それらの出来事があっという間に過ぎていく。


「おい……これ、どうなってんだよ」


混乱している間に愛奈と澪が窓の外に飛び出し、そして落下してきた。


朋樹が何かを思い出したように発狂し、顔を真っ赤にして苦しみ始める。


「おい!!」


俺は思わず朋樹に駆け寄った。


しかし、朋樹は俺に気づかない。


しばらくその場でもがいていた朋樹だが、やがて呼吸を止めてしまった。


「この空間はいわば録画された空間。今実際に起こっていることじゃない」


「朋樹は死んだのか!?」


「……全員、死んでいる」


車掌の言葉に俺は自分の死を、ようやく思い出していた。
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