自殺列車
車はすぐ目の前まで来ていた。


迷っている暇なんてない。


俺は咄嗟に彼女の体を抱きしめていた。


そして次の瞬間……ドンッ! という音が聞こえて来て、自分の体に強い衝撃が走り、周囲から悲鳴が上がった。


一体なにがどうなったのか。


一瞬の出来事でわからなかったけれど、気が付けば俺は車の下敷きになっていた。


うっすらと目を開けてみると、こけて膝をすりむいている彼女が見えた。
いけない。


病院へ連れて行ってあげないと。


そう思い彼女へと手を伸ばそうとする。


しかし、俺の体はちっとも動いてくれず、そのまま目を閉じてしまったのだった……。
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