自殺列車
それがこれから行われるのだと思うと、寂しくて、そして少し恥ずかしい気持ちになった。


自分の隠していた物がすべて浮き彫りになると考えると、顔を覆い隠してしまいたくなる。


俺は自分の部屋から出て1階のリビングへと向かった。


今の時間は両親とも帰って来ているから、リビングからはテレビの音が聞こえている。


久しぶりに会う両親にドアの前で一旦立ち止まった。


相手には見えないし両親が相手だというのに、緊張している自分がいる。


俺はその場で何度か深呼吸をして、ドアを通過した。


リビングに入った瞬間、重たい空気がその部屋に立ちこめているのを肌で感じていた。


両親はソファに座ってテレビを見ているが、その目はテレビを見ていないことがわかった。


一体どうしたんだろう?


そう思い不安になった時、テーブルの上に俺の写真が置かれていることに気が付いた。


俺が生まれてから撮って来たアルバム3冊分がそこにある。


両親の視線はそのアルバムへと注がれているのだ。


両親は無言のまま俺の写真を見つめていて、時折小さくため息をはいていた。


その顔はすごく疲れていて、たった19日しか経っていないのにかなり老けこんでいる。
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