自殺列車
彼女~旺太side~
家から出た俺は最低な気分でその場に立ち尽くしていた。


俺が償う理由がなんとなくわかってきた気がする。


1人が死ぬだけでこれほどまで環境が変化している。


それは償うのにふさわしい理由だと思えた。


俺の場合はまだいい。


人を助けて死んでいるから、死んだときの苦しみをリアルに思い出したりしていない。


でも……穂香たちは違う。


みんなそれぞれ違う理由で死んだにしても、死んだときの苦痛を思い出して自分から身を投げ出さなきゃいけない。


そう思うと、胸が苦しかった。


俺は暗くなった空を見上げた。


タイムリミットは残り4時間。


親友にも会えたし、家族にも会えた。


償う理由もわかった。


だけどあと1人だけ、今どうしているか知りたい人物がいた。


俺は目を閉じて、その人物の顔を思い浮かべたのだった。
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