自殺列車
付きあたりの部屋は小さなリビングダイニングだったが、ダイニングテーブルに置かれた様々な食材が腐り、ウジが湧いていたのだ。


激しい異臭が鼻をついて、吐き気を感じる。


俺は自分の鼻を押さえウジ虫から視線をそらした。


リビングスペースになっている場所も大量のゴミが放置されていて、あちこちから虫の羽音が聞こえて来ている。


ひび割れた窓から月明かりが差し込んでいるが、その窓にかかっているカーテンもビリビリに破れた状態だ。


こんなの、人間が暮らしていける家じゃない。


そう思いながら、リビングから隣の部屋へと通じているドアの前に立った。


この先の部屋に何があるのか。


想像するだけで気分は沈んでしまう。


きっと廊下やリビングのように大量のゴミや虫がいるかもしれない。


そう思いながらも俺は次の部屋へと足を踏み入れた。
< 208 / 222 >

この作品をシェア

pagetop