自殺列車
顔は青白く、小刻みに体を震わせている。


「これを見ろ」


そう言うと、父親は穂香の遺影を女へと付きつけた。


女の表情がこわばるのがわかった。


「俺は穂香の父親だ」


そう言った瞬間、女は大きく目を見開きブンブンと左右に首を振った。


まるで、懸命になにかを謝罪しているようにも見える。


「お前が穂香をイジメていたんだろう!」


低い声で女を脅す父親。


女は「うーうー!」と、唸り声を上げて抵抗している。


「イジメに関わった奴らはこっちで全員把握している。ラインイジメってやつだろ? 他の学年まで巻き込んで穂香をイジメやがって!」


そう怒鳴り、父親は女の首に手をかけた。


「うちの娘をバカにしやがって! お前らみたいなクズのせいで娘は死んだんだ!!」


首にかけられた手にギリギリと力がこめられ、女の顔が真っ赤になる。


「死ぬのはお前の方だろ! 全員この手で殺してやる! 1人ずつ、順番にな!」


そう言い、笑い声を上げ始める父親。
< 216 / 222 >

この作品をシェア

pagetop