自殺列車
「それってどんな違和感?」


そう聞いたのは澪だった。


「なんだか、普段よりも体が軽い感じがする。すごく調子がいいんだ」


優志はそう言い、その場で飛び跳ねて見せた。


それはごく普通にできる程度の動きで、珍しくもない。


だけど優志は飛び跳ねるごとに「ほら、見て!」と、興奮気味に声を上げた。


もしかして、優志は普段から病弱なのかな?


だからこの程度ではしゃいでいるのかも。


元気なのはいい事だけれど、今の状況で元気になってもどうしようもない。


あたしは優志から視線を外してため息をついた。


「実はあたしもさっきから体の調子がいいなって思ってたの。とても足が軽いわ」


そう言ったのは澪だった。


澪は目を輝かせて立ち上がり、優志と同じようにその場で飛び跳ね始めた。


その光景にあたしは目をパチクリさせる。


なんだか小さな子供が2人で無邪気に遊んでいるような光景に見える。


とてもほほえましいけれど、今はそれ所じゃないでしょ。
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