自殺列車
「ちょっと、揺れるからやめてよ!!」


朋樹がキレるかと思っていたけれど、愛奈の方が2人に声を荒げた。


その声に2人は同時に縮こもってしまった。


「ねぇ、体の調子がいいってどういう事?」


旺太が聞くと、2人は目を見かわせて同時に首を傾げた。


「わからないけど、なんだか普段より調子がいい感じがするんだ」


「あたしもそう! でも普段と何がどう違うのかはわからない」


自分でわからないってどういう事よ。


そう思ったあたしだったけれど……。


心の中の何かがなくなり、スッと軽くなっている事に気が付いたのだ。


何がなくなり心が軽くなっているのか?


そう聞かれてもわからない。


でも、確かに普段とは何かが違うのだ。


2人のように体調がいいとかじゃなくて、心が健康な状態になっている気がする。


だけど……あたしは心に何か重たいものを持っていたんだっけ?


そう思っても、なにも思い出せないのだ。
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