自殺列車
優志には申し訳ないけれど、怪我をしてしまうかもしれないような事はしてほしくない。


「あたしも、穂香の意見に賛成。イジメみたいなことしないでよガキじゃないんだから」


座ったままの状態で愛奈がそう言った。


その瞬間、自分の胸がドクンッと大きく跳ねるのを感じていた。


一瞬にして背中に嫌な汗をかき、呼吸が乱れる。


思わず、近くの椅子に座った。


どうしたんだろう?


さっきの愛奈の言葉、なにかすごく嫌な感じがした。


だけどそれがなんなのかわからなくて、あたしは大きく深呼吸を繰り返した。


「手加減するって言ってんだろ。ほら、やるぞ」


朋樹がそう言い、椅子をテーブルの代わりにして腕を乗せた。


下がフワフワだとまともな勝負にはならないだろう。


朋樹は最初から真剣勝負をするつもりじゃなかったみたいだ。


そうとわかると安心だけれど、優志は相変わらず青い顔をしている。


「……わかったよ」


渋々、優志が腕まくりをして椅子に腕を置いた。


2人とも中腰の状態だから、それだけでもきつそうに見える。


「誰か、レフリーしてくれ」


朋樹に言われ、旺太が2人の横に立った。
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