自殺列車
「2人ともやりすぎるなよ」


その言葉は主に朋樹に投げかけられているものだった。


そして、朋樹と優志が手を組む。


近づくと、その太さの違いが余計に際立つ。


優志の腕は今にも折れてしまいそうなくらいに細い。


澪と腕相撲した方が対等な試合ができるんじゃないかと思ってしまう。


旺太が組まれた手の上に自分の手を添える。


「行くぞ、2人とも」


「あぁ」


朋樹が頷き、優志は恐怖で強く目を閉じた。


そして、旺太が試合開始の声を上げたのだった。


当然、結果はすぐに決まる。


数十秒ももたないだろう。


誰もがそう思っていた。


でも……。
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