自殺列車
あたしも信じられなかったが、一番信じられないという表情を浮かべていたのは明樹と優志だった。


「なんでだよ……!!」


朋樹がギリッと歯を食いしばり、更に力を入れる。


それでも、優志は動かなかった。


2人とも試合開始前と同じ場所で止まっている。


このまま決着がつくのかどうかもわからない 。


「おい、もうやめろ」


旺太がそう言い、朋樹の肩に手を置いた。


その瞬間、朋樹の体から力が抜ける。


「……本気を出してたんだろ?」


優志が朋樹を見る。


「あぁ。途中からはな。でも、びくともしなかった」


「なんで……?」


「知るかよ、そんなの!」


優志の言葉にイラついたように床を蹴る朋樹。
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