自殺列車
「あたし、腕相撲なんてほとんどやったことないもん!」


「ルールくらいは知ってるんだろ?」


「それくらいならわかるけど……」


「それなら問題ない」



そう言い、朋樹はまた椅子に腕を付いた。


本気なの!?


いくらなんでも、あたしに勝てない事なんてないと思う。


それでも朋樹は自分の力を知りたいらしく、あたしをしつこく誘う。


「穂香、少し勝負するだけで満足するだろうから、勝負を受けてくれないか」


旺太がコソッとあたしに耳打ちをしてくる。


うっ……。


本当はやりたくないけれど、この場を仕切ってくれている旺太にそう言われると断ることもできない。
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