自殺列車
あたしは渋々朋樹に近づき、床に膝をついた。


そして朋樹の手を組んだ瞬間、その大きさに目を見開いた。


想像以上に大きくてゴツゴツしている。


思えばあたしは血の繋がっていない異性と手を握るのは、生まれて初めてかもしれない。


それが朋樹と腕相撲だなんて、なんだか悲しくなってしまう。


泣きそうな気分になった時、旺太の暖かい手があたしと朋樹の手を包み込んだ。


その温もりにドキッとする。


こんな異様な空間の中トキメクなんて、あたしどうかしてる。


気持ちを落ち着かせるため左右に首を振り、そのトキメキを振り払った。


「準備はいいか?」


そう聞かれあたしは「うん」と、頷く。


どうせ瞬殺で負けちゃうんだから、準備もいらないけどね。


そして始まった試合だったけれど……。


……あれ?


あたしは試合直後目をパチクリさせた。


すぐに負けると思ってほとんど力を入れていないのに、自分の腕はびくともしないのだ。


きっと朋樹が手加減しすぎているからだ。


少しは真面目に戦った方がいいのかもしれない。


そう思い、グッと腕に力を込める。
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