自殺列車
平等
その後、朋樹は澪とも腕相撲を勝負していたが、結果は同じ引き分けに終わっていた。


「この空間は普通じゃないわね」


愛奈がそう言う。


「なにがどう普通じゃないのか、それが問題だな」


旺太が腕組みをして答える。


朋樹の力が弱くなっているというよりは、みんなの力が平等になっている。


そんな感じがする。


さっき、試しにあたしと愛奈で腕相撲をしたけれど、やっぱり引き分けに終わってしまった。


「俺の体調がいいのも、みんなと同じになったってことなのかな?」


「たぶん、そういう考え方であってると思うよ」


あたしは優志の言葉に頷いた。


「プラスの部分もマイナスの部分もなくなって、みんなが同じになってるって事だな」


旺太がそう言う。


「でも、そんな事普通じゃあり得ないよね」


澪が、小さな声でポツリと言った。


その言葉にみんなが黙り込む。


普通じゃあり得ない。


それはもうみんな心の中でわかっていたことだと思う。
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