自殺列車
他に出口がない所を考えると、そういう事になる。


「出入り口も開かなかったんだよね?」


あたしは車両に2つある出入り口を調べていた旺太と優志に聞く。


2人とも同時に頷いた。


となると、やっぱり出入りできるのはこの窓だけということだ。


ジッと暗闇をみつめていても、何も見えない。


「外は危険じゃないのかな?」


澪がそう言い、開けられた窓へと近づいていく。


顔を近づけてもその髪が風に揺れることはなかった。


やっぱり、電車は止まっているみたいだ。


「誰か1人が外に出て、助けを呼んでくるっていうのはどうだ?」


朋樹が思いついたように言う。


「誰か1人って、一体誰がこんな闇の中に行くっていうのよ」


愛奈が冷めた口調でそう言った。


「スマホの明かりで歩けるようになるだろ」


そう言い、朋樹がズボンのポケットに手を入れた。


そうだ。


あたしもスマホを持っている!


「待ってよ、それならスマホで外と連絡を取ればいいじゃない!」


と、愛奈。


全くその通りだ。


どうして今までスマホの存在を忘れていたんだろう!!
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