自殺列車
「そんな……」


ここにいる全員が外との連絡手段を持っていないなんて、変だ。


もしかして、これもすべて最初から仕組まれていたことなんだろうか?


だとしたら、犯人は家の中からあたしたちを見ていた可能性がある。


そう思うと、背筋がゾクリと寒くなった。


まるでストーカーにでもあっているような気分だ。


「くそっ! 明かりがねぇんじゃこの中に下りていく勇気はないな……」


朋樹が舌打ちをする。


「仕方がないよ。窓、閉めてよ」


愛奈が澪に言う。


電車内に変わった所はない。


出入り口も開かない。


おまけにスマホもない。


あたしたちは再び沈黙に包まれたのだった……。
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