自殺列車
その瞬間、強烈な違和感が体を貫いた。


ドクンッと心臓が跳ね、血液がグルグルと駆け巡る感覚がする。


なに、これ。


高熱が出た時のように体中が熱く、けだるさを感じる。


何かを忘れている。


喪失感。


あるはずべきのものが、欠けている。


言葉のパーツがバラバラになって脳内を飛んでいる。


それらはまだ繋がらず、あたしは思わず椅子に横になった。


「おい、大丈夫か?」


すぐに旺太が駆け寄ってきてくれた。


「大丈夫……ちょっと気分が悪くて」


「無理するなよ」


「うん」


あたしたちは一体、何を忘れているんだろう……。
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