自殺列車
「澪……?」


優志が震える声でそう言う。


あたしは浮かんでいる顔に釘付けになったまま、澪と窓の顔とを一致させた。


ほぼ原形が失われている顔だけれど、着ている服を見るとついさっきまでここにいた澪のものと同じなのだ。


澪はまるで高い場所から落下して、顔面から地面に着地したような状態で、目や鼻は潰れ血にまみれたミンチ肉が窓にへばりついているように見える。


「な……なんでだよ!?」


わけがわからずパニックになりそうな悲鳴をあげる朋樹。


澪の体は窓にへばりついたままで、下に落ちる気配はない。


こんな状態、あり得ない。


無重力状態なら人間の力は均等になるかもしれないが、ここに重力は存在している。


そう言っていたのは澪だ。


それなのに、なんで澪の体は窓にへばりつき、浮かんだままなんだろう。


その異様な光景から目を離したくても、離れない。


澪は落ちて来た。


間違いなく、開いている窓から外へ出て、そして逆側の窓に落ちて来た!!
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