自殺列車
「で、でも。ここに来てから今までそんな事なかったよ?」


あたしが言うと、旺太は静かに頷いた。


「そうだよな。でも、実際に俺は今お前らを殴りたいと思ってる。普段は喧嘩している奴らを見るとすごく嫌な気持ちになって止めに入ってた。


でも、今は違うんだ」


「もしかして、あたしたちの関係が崩れるように仕組まれているとか?」


あたしは、ふと思ったことをそのまま口に出していた。


あたしたちを実験台にしている人や、ゲームとして楽しんでいる人のために、混乱が起きるように仕組まれているのかもしれない。


このイラつきも、もしかしたら知らないうちに暗示でもかけられているのかもしれない。


「もし穂香の言う通りこれが仕組まれた感情なら、踊らされるわけにはいかない」


旺太がそう言った。


「見ている誰かを楽しませるような事だけは避けよう」


旺太の言葉に2人はようやく落ち着きを取り戻したのだった。
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