自殺列車
あたしは自分の気分を変えるため、前の車両へと視線をやった。


相変わらず、そこにも暗闇があるだけで誰かが乗っているような気配はない。


「同じような闇に見えるけれど、違うのかな?」


「どうだろうな?」


旺太があたしの横に来て、同じように闇を見つめた。


ジッと目をこらしていても、何も見えないし物音も聞こえてこない。


「やっぱり、この電車に乗っているのはあたしたちだけなのかな……」


「そうかもしれないな。でも、最初に見た黒ずくめの車掌は乗っているはずだ」


「あ、そっか。乗るところみたもんね」


あの車掌さんは一体どこへ行ったんだろう?


電車がこんな状況になっているということを、ちゃんと把握しているんだろうか?


「もしかして、あの人もグルなんじゃないの!?」


ハッと思いつたように愛奈が言った。


「グル?」


あたしは聞き返す。


「そうだよ! 実験かゲームか知らないけど、そういう奴らのグルなのかも

!」

「まさか……!」


否定しようと思ったけれど、できなかった。
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