自殺列車
「この異様な空間にいて、喧嘩もしてるのに、誰1人として喉が渇いてないのっておかしくない? トイレも、誰も行きたいって言わないよね? そういう生理現象が来ないのって変だよね」


愛奈に言われ、初めて気が付いた。


「そう言えば、あたし一度もトイレに行ってない」


ここに来てからではなく、朝から行った覚えがないのだ。


それでも全く平気な状態でいる。


普通なら膀胱炎になっていてもおかしくないかもしれない。


「おいおい、それじゃまるで俺たちが人間じゃないみたいだな」


朋樹が顔をしかめてそう言った。


「この空間がおかしいのか、あたしたちがおかしいのか。どっちなのかしらね?」


愛奈はそう呟いたのだった。
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