自殺列車
あたしと愛奈は窓の方を見ないようにうつむいていたが、旺太が1人席を立った。


「俺、確認してくる」


そう言い、4人席から出た。


その時だった。


うつむいていたあたしの目の間に、窓にへばりついて全身から血を流している優志の姿が見えたのだ。


ハッとして顔を上げ、思わず窓の方を向く。


そこには……さっき一瞬だけ見えた優志の姿がそのままあったのだ。


優志の顔は半分が崩れ、半分だけ原形をとどめている状態だ。


残っている方の目は大きく見開かれ、血走っている。


口元は恐怖で歪み引きつっている。


優志の死に顔は悲惨そのものだった。


暗闇の中で一体なにがあったんだろう?


どれほどの恐怖を味わって死んだんだろう。


考えれば考えるほど気持ちは暗く沈んで行く。
< 79 / 222 >

この作品をシェア

pagetop