自殺列車
2月や3月はまだ寒い日があるから、窓もそんなに開けないはずなのに。


「みんな同じ時期から記憶が飛ぶっていうのは、やっぱりおかしいわね」


愛奈がそう言い、あたしは自分の思考回路を遮断した。


そうだ、今はみんなの共通点を探すのが先だ。


「もしかして、その時期に俺たち全員眠らされて、今はすっげぇ未来で、色々開発が進んでて。で、実験台にされてるとか?」


朋樹が真剣そのものの表情で言う。


「朋樹、それはさすがにないだろ」


旺太は含み笑いでそう言った。


朋樹の豪快な推理にここへ来て久しぶりにみんなの顔に笑顔が浮かんだ。


「でも、それもないとは言い切れない状況よね」


笑いながらも、愛奈が言う。


「そうだね。ここがどんな空間なのかわからないんだから、朋樹の推理が当たっているかもしれないし」


あたしも頷き、そう言った。


すると朋樹は少し自慢げな表情を浮かべて「だろ?」と、言った。
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