自殺列車
しばらく大声で叫んでいたが、何の反応も返ってこなくてあたしたちの声は徐々に小さくなって、やがて消えてしまった。


「なんで反応してくれないんだよ!」


朋樹がイラついたようにドアを蹴る。


「やめろよ。お前がイライラしてると、俺たちまでイライラしてくる」


そう言い、旺太が朋樹を止めた。


「《残り30》ってどんな意味があるんだろう? この電車に乗った時も電光掲示板に同じ言葉が流れていたけれど……」


あたしは呟く。


なんの意味もなく、《残り30》という言葉を使っているようには思えない。


きっと、なにかのヒントになっているハズなんだ。


「あと30駅で終点とか?」


愛奈が言う。


「この電車は動いてないのに、そんなアナウンスしないだろ」


朋樹がすぐにそう返事をする。


「終点まで30駅なんて、いくらなんでも多すぎるだろ。もっと別の意味があると思う」


と、旺太。


だけど、それがわからない。


その時、旺太が身をかがめて何かを手に取った。


手にもったそれはネジだった。
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