自殺列車
「あぁ、俺は大丈夫だ」


栗色の髪の男の子が答えてくれる。


「あたしも平気。みんなは?」


口ピアスの女の子がそう聞くと、みんなそれぞれ大丈夫だと頷いてくれた。


よかった。


とりあえずここに怪我人はいないようだ。


ホッと、胸をなで下ろした時、金髪の男の子が車両の継ぎ目へと歩き出した。


「隣の車両ならさっきの車掌がいるかもしれねぇから、言ってくる」


あたしたちにそう言い、継ぎ目を開けるドアに手をかける。


しかし……。


「あれ?」


そう呟き、首を傾げたのだ。


「どうした?」


栗色の髪の男の子が近づいていく。


「ドアが開かねぇんだ」


そう言い、ドアをガタガタと揺らす。


しかし、ドアはびくともしないようだ。


「まさか。代わってくれ」


栗色の男の子がドアに手をかける。


しかし、やはりびくともしない。


全体重をかけてドアを引いても、ちっとも動かないのだ。
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