自殺列車
スーツの男
体がしびれる感覚に耐えきれず椅子に座った時、不意に車両のつなぎ目の音もなくスッと開いたのだ。
それはあまりに突然の出来事で、全員が唖然として声を出す事もできなかった。
引いても押しても開かず、傷さえつかなかったドアがすべて開き、前の車両の暗闇が目の前に存在している。
「あ……」
旺太が何かいいかけたけれど、それは声にならずに飲み込まれた。
闇の向こうにはアナウンスをしていた誰かがいるはずだ。
助けてもらうなら、今しかない。
そう思うのに、誰の足も動かなかった。
それは暗闇に消えて行った澪と優志の末路を知っているからだ。
同じような闇が広がっている車両へと移動する勇気は、誰も持っていなかった。
やがて、足元にヒヤリと冷たい冷気が流れ込んできてあたしは身震いをした。
「穂香……!」
愛奈があたしの横へ来てギュッと体を抱きしめる。
「大丈夫だよ……たぶん」
あたしは愛奈の体を抱きしめ返した。
恐怖で声が震えてしまって、とても大丈夫とは思えない。
それはあまりに突然の出来事で、全員が唖然として声を出す事もできなかった。
引いても押しても開かず、傷さえつかなかったドアがすべて開き、前の車両の暗闇が目の前に存在している。
「あ……」
旺太が何かいいかけたけれど、それは声にならずに飲み込まれた。
闇の向こうにはアナウンスをしていた誰かがいるはずだ。
助けてもらうなら、今しかない。
そう思うのに、誰の足も動かなかった。
それは暗闇に消えて行った澪と優志の末路を知っているからだ。
同じような闇が広がっている車両へと移動する勇気は、誰も持っていなかった。
やがて、足元にヒヤリと冷たい冷気が流れ込んできてあたしは身震いをした。
「穂香……!」
愛奈があたしの横へ来てギュッと体を抱きしめる。
「大丈夫だよ……たぶん」
あたしは愛奈の体を抱きしめ返した。
恐怖で声が震えてしまって、とても大丈夫とは思えない。