自殺列車
償い
車掌さんを殴ろうとした朋樹が拳を握りしめたまま、車掌さんが立っていた場所をジッと見つめている。


「朋樹、大丈夫か?」


さすがに心配になり、旺太が声をかける。


しかし、朋樹はそれに反応しない。


自分の拳と、車掌さんが立っていた場所を交互に見つめている。


「ねぇ、朋樹?」


愛奈も声をかける。


その時、朋樹がこう言った。


「残り30はお前たちの償い」


「え、なに?」


愛奈が聞き返すと、朋樹がようやく顔を上げた。


しかし、その顔は真っ青で唇が小刻みに震えているのがわかった。


「朋樹、大丈夫?」


あたしもその場から立ち上がり、朋樹に近づく。


すると朋樹が「俺に近寄るな!!」と、叫んだのだ。
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