自殺列車
その目には涙が浮かんでいて、今までの朋樹じゃないように見える。


「どうしたんだよ朋樹」


旺太は眉を寄せて朋樹を見た。


「残り30はお前たちの償い。スーツの男はそう言ったんだよ」


朋樹が旺太に向けて言う。


しかし、旺太はその意味が理解できず、困った顔をこちらへ向けた。


あたしにも、朋樹が何を言っているのかわからない。


「思い出した……思い出したんだよ、俺……」


朋樹の声は震えはじめ、そして突然開いている窓へ向けて走ったのだ。


「ちょっと、危ないでしょ!?」


愛奈が朋樹を止めようとする。


しかし、朋樹は愛奈の静止を振り払った。


「俺は喧嘩だ。それを思い出せば、すべて終わり……。俺は思い出した。だから、ここから出なきゃいけねぇ」


「何を言っているの、朋樹!」


愛奈が叫ぶ。


朋樹はチラリと愛奈へ視線を向けて……闇へと手を伸ばした。


瞬間、朋樹の体は闇の中の何かに引っ張られるようにして外へと引き込まれていったのだった……。
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