自殺列車
「うそ……でしょ?」


愛奈が脱力してその場に座り込んだ。


朋樹が何かを思い出した。


そして自分から進んで闇の中へと入って行ってしまった……。


気温は戻ったと言うのに空気は凍り付いているようだった。


「愛奈……」


あたしは愛奈の横に座り込み、その肩を抱いた。


「なんで……なんでこんなことになるのよ……」


愛奈の肩が小刻みに震えはじめる。


朋樹とは喧嘩ばかりしていたけれど、それほど相手の存在を気にかけていたのだろう。


愛奈の頬にはいくつもの涙が伝って落ちて行った。


外に出れば、待っているのは死のみ。


澪と優志を見ていて、あたしたちにはそれが痛いほど理解できていた。


愛奈の肩をさすっていると、旺太がネジで床に傷をつけ始めた。


見るとさっき車掌さんの言っていた呪文のような言葉を書き出している所だった。


「残り30はお前たちの償い。思い出したら終わり。朋樹の残した言葉は絶対ヒントになるはずだ」
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