自殺列車
床に書き出した文字を睨み付けるようにして、旺太が呟く。


「わかんないわよ、そんなの」


愛奈が旺太へ向けてそう言った。


しかし、旺太は手を止めない。


1つ1つのパーツをどう組み立てれば答えが出てくるのか、必死で考えている。


「さっきから色々と推測で話をしているけれど、結局この世界がなんなのか決定的なものはなにもないじゃない!!」


愛奈は叫ぶ。


もう、なにもかもが嫌になっているのかもしれない。


あたしは泣き出しそうになる気持ちをグッと抑え込み、ほほ笑んだ。


「大丈夫だよ愛奈。心配しないで」


「穂香……?」


「これはただの夢だから。冷めない夢なんて、ないんだから」


そう言い、愛奈の背中をさすった。


それは自分自身に言い聞かせている言葉でもあった。


早く目覚めてほしい。


それだけだった。


「あ、もしかして……」


旺太が小さく呟き、あたしと愛奈が振り向いた。


床の文字を見ていた旺太は瞬きを繰り返し、ある文字を何度も読み返している。
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