涙色レター

「紗月、聞いたよ!どういう事!」



朝。
教室に座ってボーッとしていたら、
今、登校してきたらしい。
カバンを肩にかけたままのミナが私の元まで来て、憤慨した様子で机を叩いた。


―バンッ!


机が揺れて、
倒れそうになった紙パックのジュースを慌ててキャッチ。


「? 何が?」


急にそんな事を言われても、
何の事だか分からなくて首を傾げる。



「あんた、蒼くんと付き合ったってどういう事!?」

「なんだ、そんな事か……」



出来れば、触れて欲しくなかった話題。


「そんな事って……」


平常心な私を見て、ミナは
信じられない
と言った目で、私を見る。




私だって、信じられない。
信じたくない。

こうやって平常心を保っていることで、
現実から目を背けようとしてるだけ。



まさか、こんな事になるだなんて、
自分でも思ってなかったから。
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